私たちが普段何気なく飲んでいるコーヒーは、コーヒーチェリーを収穫するタイミングやコーヒー豆の精製方法により、香味が大きく変わります。コーヒーチェリーの構造や、コーヒー豆の4つの精製方法については以前に紹介させて頂きましたが、今回は4つの精製方法による香味の特徴を解説していきます。
【目次】 |
1.ナチュラル精製による香味の特徴 |
2.ウォッシュド精製による香味の特徴 |
3.パルプドナチュラル精製による香味の特徴 |
4.ウェットハル精製による香味の特徴 |
5.まとめ |
ナチュラル精製による香味の特徴
ナチュラル精製は主にブラジルやエチオピア、イエメンなどで採用されている精製方法です。
コーヒーチェリーのまま乾燥させるため、自然に発酵が進みやすく、他の精製方法よりもフルーティーな香味を感じることができます。特にエチオピアやイエメンで生産されているコーヒー豆は、ベリーのような華やかな香りが特徴的で、アフターテイストにはレーズンやワイン、チョコレートなどが感じられるコーヒー豆もあります。
ブラジルで生産されているナチュラル精製のコーヒー豆は、フルーティーな香味というよりはもう少し深みがあり、ダークチョコレートやナッツを思わせる香味を感じることができます。
コーヒーチェリーの乾燥状態や発酵の進み具合いを見極めることが非常に難しいナチュラル精製ですが、今ではコスタリカやニカラグア、グアテマラといった中米でもナチュラル精製にチャレンジする農園が増えてきています。
COFFEE ROASTERY 101でナチュラル精製のコーヒー豆を買い付けする際は、Q Arabica Graderによるカッピングを行い、コーヒー豆が過発酵になっていないかを必ずチェックするようにしています。
ウォッシュド精製による香味の特徴
ウォッシュド精製は主にブラジル以外の中南米やカリブ海諸国など、世界各国で広く採用されている精製方法です。
コーヒーチェリーの外皮、果肉、ミューシレージを取り除いてから乾燥させて、しっかり洗い流すウォッシュド精製は、舌触りも滑らかでクリーンな味わいが特徴的です。レモンやオレンジ、マスカット、ピーチ、アップルなど、高品質なスペシャルティコーヒーは様々なフルーツを感じさせます。
COFFEE ROASTERY 101でウォッシュド精製のコーヒー豆を買い付ける際は、Q Arabica Graderによるグリーングレーディングを行い、コーヒー生豆の品質を必ずチェックします。品質をクリアしたコーヒー豆のうち、ハイローストで個性と甘味がしっかり感じられるコーヒー豆のみを買い付けします。
パルプドナチュラル精製による香味の特徴
パルプドナチュラル精製は主にブラジルやコスタリカで採用されている精製方法です。
コスタリカではハニー精製と呼ばれ、果肉やミューシレージの残す量によって「ホワイトハニー」、「イエローハニー」、「レッドハニー」、「ブラックハニー」などと分類されることもあります。
コーヒーチェリーの外皮と果肉を取り除き、ミューシレージが付着したパーチメントコーヒーの状態で乾燥させるパルプドナチュラル精製は、フローラルでフルーティーな香味を感じることができます。また、アフターテイストでは蜂蜜やメープルシロップ、チョコレートや黒糖といった、とろみのある甘味が口に広がります。
COFFEE ROASTERY 101でブラジルのコーヒー豆を買い付けする際は、精製方法にこだわることはなく、コーヒー生豆の品質を第一優先として選定していきます。最後にシティーローストでしっかり甘味が感じられるコーヒー豆のみを買い付けします。
コスタリカのコーヒー豆を買い付けする際は、酸味の質とアフターテイストのバランスが良く、個性が感じられるコーヒー豆のみを買い付けします。
ウェットハル精製による香味の特徴
ウェットハル精製は主にインドネシアのスマトラ島で採用されている精製方法です。
コーヒーチェリーの外皮、果肉、ミューシレージを取り除いた後に一次乾燥させて、乾燥の途中でパーチメントを剥ぎ取り、再び乾燥させるウェットハル精製は、他にない複雑で独特な香味を感じることができます。
南国のフルーツを思わせる香りやウィスキーのようなアルコール感、ブラックペッパーや葉巻のような少し刺激的な香味など様々です。
COFFEE ROASTERY101でインドネシアのコーヒー豆を買い付けする際は、Q Arabica Graderによるグリーングレーディングとカッピングを何度も行います。それはあまりにも複雑なため一歩間違えるとディフェクトになりかねないからです。湿った土っぽさや紙っぽさ、ホコリっぽさを感じるコーヒー豆も少なくありません。深煎りにしてごまかすことなく、シティーローストで心地よい酸の複雑さと個性を感じられるコーヒー豆のみ買い付けします。
まとめ
今回はコーヒー豆の精製方法による香味の違いについて解説しました。
すべてが今回の解説内容に当てはまるとは思いませんが、1つ言えることは生産国の方々が美味しいコーヒーのために試行錯誤を重ねながら日々チャレンジしているということです。
皆さん、気になる精製方法はありましたでしょうか。
COFFEE ROASTERY 101では、下記オンラインストアにて4つの精製方法により仕上げられたコーヒー豆を販売しています。
迷った方はウェットハル精製のインドネシアを是非お試しください。
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