私たちが普段飲んでいるコーヒーは、どのようにして発見されたのでしょうか。
コーヒーチェリーの構造やコーヒー豆の精製方法については以前に解説しましたが、今回はコーヒーの発見にまつわる伝説を紹介します。
【目次】 |
1.コーヒー発見伝説①イエメンの僧シーク・オマール説 |
2.コーヒー発見伝説②エチオピアのヤギ飼いカルディ説 |
3.まとめ |
コーヒー発見伝説①イエメンの僧シーク・オマール説
人々から大変敬われていたイスラムの僧シーク・オマールは、ある日領主の誤解によって町を追放され、イエメンのオーザブ山に逃げ込む。そこでシーク・オマールは山中をさまよい、食べる物もなくうえていた時に、一羽の鳥が赤い木の実をついばんでいるのを見つけた。シーク・オマールは、迷わずその赤い実を口にした。その実はお世辞にも美味しいと言えるものではなかったが、しばらくすると不思議なことに飢えがいやされ、さらに驚くことに、疲れきっていたシーク・オマールの体から疲労がサッと消え、気分が爽快になったのだ。
一方その頃、シーク・オマールを追い出した領主の町では、病気が猛威をふるい、人々を苦しめていた。人々は、シーク・オマールが町にいた時に、彼の祈りによって多くの人々が助けられたことを思い出し、すがるようにシーク・オマールを追ってオーザブ山に分け入り、助けを求めた。人々から町の惨状を聞いて彼は深く悲しみ、町の人々のために祈った。そして、自分の体に不思議な力を与えてくれた赤い実の煮汁を人々に与えた。すると多くの人々が、シーク・オマールに起こった奇跡と同じように、病からあっという間に回復した。人々は救われ、町はよみがえったのだ。このことからシーク・オマールは以前にもましてあがめられ、町に迎え入れられた。この町とは、後にコーヒー豆の積み出し港となり、コーヒー豆の名前としても有名なモカの町。そしてシーク・オマールは、この地名をとって「モカの守護聖人」と呼ばれるようになったという。
コーヒー発見伝説②エチオピアのヤギ飼いカルディ説
「修道士さま、これは奇跡の実です!ヤギとこのぼくに奇跡が起きました!」興奮した面持ちで話すヤギ飼いの少年の手には、その奇跡を起こすという赤い実がにぎられていた。この少年に名はカルディ。アラビア半島とアフリカ大陸が出会う場所での物語。この地こそ、私たちが愛するコーヒーの生まれ故郷ともいうべき、運命の場所だった。ある日のこと、ヤギ飼いのカルディは放し飼いにしていたヤギたちが、夜になっても元気に飛び回っていることに驚いた。「なぜだろう?いったいどうしたんだろう?」不思議に思ってカルディがヤギたちをしばらく観察していると、ヤギたちがみな赤い木の実を食べていることに気付いた。そこで勇気を振り絞ってカルディも、試しにその実を口にした。するとどうだ、全身に活力がみなぎってきたではないか。これに驚いたカルディは、修道士の元にかけつけ、前述のようにこの奇跡を告げた。カルディの話を聞いて修道士は、その実があれば、夜の長い祈りを襲う睡魔にも打ち勝つことができるのではないかと考え、その実を口にした。結果はカルディが言った通りだった。そしてその後、この赤い実が、修道士たちの間に睡魔に打ち勝つ秘薬として広まっていったのだった。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
コーヒーの発見伝説は数説ありますが、その中でも有名なイエメン説とエチオピア説を今回は紹介させていただきました。
そしてこの物語に登場する赤い木の実こそがコーヒーチェリーのことをさしていることはお分かりいただけたと思います。
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