コーヒー豆は約60カ国の比較的温暖な地域で生産されていますが、味や香り、風味などは生産国ごとに大きく異なります。
その中でも今回ご紹介させていただくエチオピアで生産されているコーヒー豆は、見た目も小粒なコーヒー豆が多く、香りも特徴的で、前回ご紹介させていただいたブラジルで生産されているのコーヒー豆の特徴とは大きく異なります。
それではエチオピアで生産されているコーヒー豆はどのような特徴があるのでしょうか。
【目次】 |
1.エチオピアで生産されているコーヒー豆の歴史 |
2.コーヒー豆の収穫方法 |
3.コーヒーの味や風味 |
4.COFFEE ROASTERY 101が取り扱いしているエチオピアのコーヒー豆 |
5.今回のまとめ |
エチオピアで生産されているコーヒー豆の歴史
エチオピアとは
エチオピア連邦民主共和国、通称エチオピアは東アフリカに位置しており、首都はアディスアベバ。世界最古の独立国といわれています。
面積は約112.9万㎢で、日本の約3倍の大きさがあり人口は約1億1,787万人(2021年:世銀)。
80以上の民族がそれぞれの文化を持って共存しています。
コーヒー発祥の地
エチオピアはコーヒー発祥の地といわれています。
世界最古のコーヒーは、9世紀頃にエチオピアのアビシニア高原でコーヒーノキが自生していることが発見されたことから、コーヒー発祥の地といわれています。エチオピアではコーヒーの栽培、加工、飲用は日常生活の一部であり、家庭用や商業販売用として何世紀にもわたって栽培されています。
エチオピアやイエメンで栽培されたコーヒー豆はかつてイエメンにある港、モカ港から輸出されていました。そのため、エチオピアやイエメンで生産されたコーヒー豆は通称モカと呼ばれています。
コーヒー豆の生産量
エチオピアにおけるコーヒー豆の年間生産量は約456トン、世界5位の生産量があり、2023年1月の発表では世界のコーヒーの約4.6%がエチオピアで生産されたコーヒー豆といわれています。
エチオピア国内では現在でもコーヒーを楽しむ習慣があり、約半分は国内で消費され、残りの約290トンが輸出されています。
世界のコーヒー豆生産量ランキング2021【2023年1月発表】はこちら
コーヒーセレモニー(カリオモン)
エチオピアでは、コーヒーは儀式の一部として今でも一般的に楽しまれており、カリオモンと呼ばれるお客様をもてなす時に行う伝統的な習慣があります。カリオモンは結婚前の女性が身につけるべき作法の一つといわれるほど重要な習慣です。
おもてなしの際、世帯の最年長の女性はコーヒーの生豆を水で洗った後、鉄鍋でコーヒー豆を焙煎し、お客様に香りを楽しんでいただきます。
焙煎が終わるとムカチャとザナザナといわれる道具を使い、その場でコーヒー豆を細かくすり潰し、ジェベナと呼ばれるポットに水とすり潰したコーヒー粉を入れ、火にかけてコーヒーを抽出します。
1杯目はアボルといい、一般的には砂糖を入れて飲みます。2杯目はトーナ、3杯目はバラカといい、お客様から求められた場合に提供します。カリオモンは地域や家庭によってやり方が違い、カルダモンやクローブなどの香辛料を入れたり乳やバターを入れる場合もあります。
カリオモンと呼ばれるコーヒーセレモニーは、大地や家族に感謝の気持ちを込めて行う、エチオピアでは伝統的なコーヒーの楽しみ方の一つでもあります。
コーヒー豆の収穫方法
エチオピアにおけるコーヒーチェリーの収穫時期は生産地域によって様々ですが、10月〜1月または2月〜4月がコーヒーチェリーの主な収穫時期です。生産地の標高は1,500m〜2,200mと高く、多くは農民が家庭栽培で育てて収穫しています。設備の整った大きな農園は珍しく、自生しているコーヒーノキからコーヒーチェリーを収穫したり、家の裏にある農地や森を皆んなで手分けしていろいろな作物と一緒にコーヒーノキを育てています。
丁寧に収穫(手摘み)したコーヒーチェリーは、村のコーヒーチェリー買取所に持ち込まれ現金と交換されます。買取所に集められたコーヒーチェリーはまとめて首都アディスアベバにある精製所に運ばれ、一気に精製していきます。
エチオピアにおけるコーヒー豆の栽培と収穫は、自生しているコーヒーノキからコーヒーチェリーを収穫するフォレストコーヒー、家の近くにある農地や森にいろいろな作物と一緒にコーヒーノキを育てて収穫するガーデンコーヒー、農園で集約的にコーヒーノキを育てて収穫する現代的なプランテーションコーヒーが挙げられます。
フォレストコーヒーによる栽培面積は全体の約55%、ガーデンコーヒーは全体の約45%、プランテーションコーヒーは全体のわずか5%しかありませんので、古くから伝わる伝統的な収穫方法がいまだ行われている珍しい国であることがよく分かります。
3.コーヒーの味や風味
エチオピアのコーヒーはフルーティーな香りが特徴です。
「ハラー」、「シダモ」、「イルガチェフェ」、「ディマ」、「レケンプティ」など東西に長く様々な地域でコーヒー豆の栽培が行われていますが、どれも非常にフルーティで香り豊かなコーヒーです。
柑橘系の香りやベリー系の香り、ジャスミンのようなフローラルなニュアンスも感じます。また、ワインやスパイス感が感じられるコーヒーもあります。
COFFEE ROASTERY 101が取り扱いしているエチオピアのコーヒー豆
【Ethiopia】 Guji Shakiso G1 Natural 【200g】
■Roast level
Medium roast
■Flavor profile
Floral、Blueberry、Black tea、Milk chocolate
今回のまとめ
今回はエチオピアで生産されているコーヒー豆の特徴について解説させていただきました。
エチオピアはコーヒー発祥の地といわれており、現在も伝統的な栽培方法が受け継がれ、世界5位の生産量があります。
また、コーヒーの楽しみ方でもあるカリオモンと呼ばれる素晴らしいおもてなし文化も残っています。
COFFEE ROASTERY101が現在取り扱いしているエチオピアのコーヒー豆は、コーヒーの女王といわれるシダモ州グジ地区のシャキッソ村で生産されています。
爽やかな花の香りと、ブルーベリーやワインを思わせるフレーバーとミルクチョコレートのようなアフターテイストをお楽しみください。
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