コーヒー豆は、赤道を挟んで北緯25度から南緯25度の間、約60カ国の比較的温暖な地域で生産されています。その中でも特に徹底した管理のもと、品質の高いコーヒー豆を生産している国の1つにケニアがあります。今回は世界各国から注目されているケニアコーヒーについて解説していこうと思います。
最後にCOFFEE ROASTERY 101が取り扱いしているケニアのコーヒー豆もご紹介させていただきます。
【目次】 |
1.ケニアで生産されているコーヒー豆の歴史 |
2.コーヒー豆の生産方法と収穫 |
3.ケニアコーヒーの等級・格付け方法 |
4.コーヒーの味や風味 |
5.COFFEE ROASTERY 101が取り扱いしているケニアのコーヒー豆 |
6.今回のまとめ |
ケニアで生産されているコーヒー豆の歴史
ケニアでコーヒー豆の生産が始まったのは19世紀後半だと言われています。すでにその頃、エチオピアではコーヒー豆の生産が盛んに行われていましたが、ケニアではまだコーヒー豆の生産は行われていませんでした。コーヒーの伝来には諸説あり、1893年にカトリック教の宣教師がインド洋のレユニオン島からコーヒーを持ち込んだという説と、1900年にケニアを植民地としていたイギリスがコーヒー豆の生産を始めたという説があります。
ケニア国境にはアフリカ最大の山脈「キリマンジャロ」があり、この土地がコーヒー豆の栽培に適していることが分かったことでボーア人、イギリス人、イタリア人、ドイツ人など多くの人々が定住し、コーヒー豆の栽培をスタートしたと言われています。
歴史は浅いものの、コーヒー研究の専門機関が早くから設立されたケニアでは、1934年からコーヒーのオークション制度や格付け制度が導入されました。
ケニアで生産されているコーヒー豆の品質は、専門機関の管理が徹底されていることもあり、高品質で毎年安定しています。
コーヒー豆の生産量は世界25位ですが、品質の高さでいえば世界トップクラスといえるでしょう。
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コーヒー豆の生産方法と収穫
北にエチオピア、南にタンザニアと接するケニアは、国のほぼ中心を赤道が貫きます。国土面積は582,600 km²で日本の約1.5倍、人口は5,377万人で日本のおよそ半数です。エチオピアやタンザニアに比べるとコーヒー豆の生産量は少なく、減少傾向にありますが、品質の高さ、香味の素晴らしさからケニアコーヒーのファンが多く、コーヒー豆は高額で取引されています。
ケニアのほぼ中心にはケニア山(標高5,199m)があり、ケニア山の南側の地域エンブ、キリニャガ、ムランガ、ニエリ、キアンブなどでコーヒー豆の生産が行われています。気温は年間を通じて平均19度ほどで、1年に2回雨季があり、日光と降雨量が最適に保たれた酸性土壌と朝夕の寒暖差が大きいことからコーヒー豆の栽培に最も適した環境といえます。
各地域には「ファクトリー」と呼ばれる精製施設がいくつもあり、小規模農家が収穫したコーヒーチェリーは地元のファクトリーに持ち込まれ換金されます。ケニアで生産されたコーヒー豆はこの「ファクトリー」単位で流通されることがほとんどです。
ケニアで生産されるコーヒー豆は9月〜12月にメイン(メインクロップ)の収穫、5月〜7月にサブ(フライクロップ)の収穫があります。ファクトリーに集められたコーヒーチェリーは選別された後、果肉除去、水洗処理、乾燥まで行われ、適正水分値になった後、二次加工施設(ドライミル)で脱殻と再選別を経て「マーケティングエージェント」に販売が委託されます。
【マーケティングエージェントとは】
ケニアで生産されるコーヒー豆は、主に2つの流通経路を経て販売されています。オークションによる流通
ケニアではNCE(Nairobi Coffee Exchange)という取引所で毎週オークションが開催されています。マーケティングエージェントはコーヒー豆をオークションに出品することができ、オークション参加資格をもった輸出業者のみがオークションに参加し落札することができるシステムです。直接取引による流通
マーケティングエージェントと輸出業者で直接取引を行うシステムです。マーケティングエージェントはオークションを通さずに輸出業者へ直接販売することもできます。
2005年まではオークションによる流通のみでしたが、2006年より輸出業者との直接取引が可能になりました。
その他
マーケティングエージェントはコーヒー豆の販売の他に、ファクトリーを通じて農家への苗や肥料の提供、栽培や収穫のアドバイスや指示、農家への資金融資なども行っており高品質なコーヒー豆を生産するためになくてはならない存在といわれています。
ケニアコーヒーの等級・格付け方法
ケニアで生産されているコーヒー豆は、スクリーンサイズ(コーヒー生豆の粒の大きさ)でグレード分けされます。
等級・格付け | 詳細 |
AA | スクリーンサイズ17〜18(6.8mm以上)のコーヒー生豆 |
AB | スクリーンサイズ15〜16(6.0mm以上6.8mm未満)のコーヒー生豆 |
C | スクリーンサイズ15(6.0mm未満)のコーヒー生豆 |
E | エレファント。異常に大きなコーヒー生豆 |
TT | 風圧で飛ばされた軽量で密度の低いコーヒー生豆 |
T | コーヒー生豆の割れた破片、微細豆や未熟なコーヒー生豆 |
PB | 丸豆(ピーベリー)のコーヒー生豆 |
日本国内ではAAランクまたはABランクのコーヒー生豆が輸入されます。近年ではAAランクよりもABランクの方が複雑な香味があると見直されつつあり、ABランクのコーヒー豆を好むロースターも増えている傾向です。
コーヒーの味や風味
ケニアで生産されたコーヒーは風味が非常に豊かです。そのため様々な焙煎度合いで美味しいコーヒーを楽しむことができます。浅煎りではケニア独特のフルーツトマトのようなフレッシュさを味わうことができ、中煎りから中深煎りでは柑橘系やベリー系を思わせる爽やかで明るい酸味と、しっかりとした甘さが長く続くコクのあるコーヒーを楽しむことができます。また深煎りでは、酸味の強度は落ち着きながらも感じることができ、柔らかな苦味とボディのあるコーヒーを体験することができます。
COFFEE ROASTERY 101が取り扱いしているケニアのコーヒー豆
【Kenya】 Nyeri Kirinyaga Kiangai AB Washed
Flavor:Floral、Black tea、Peach、Cacao
Roast level:City roast
今回のまとめ
今回はケニアで生産されているコーヒー豆の特徴について解説させていただきました。本当に素晴らしいコーヒー豆を生産し続けているケニアはCOFFEE ROASTERY 101にとっても欠かせない銘柄の1つです。
毎年COFFEE ROASTERY 101でケニアのコーヒー豆を買い付けする際は、十数種類のサンプルからブラインドでカッピングを行い高評価を得たコーヒー豆を1種類だけ買い付けします。一昨年のフレーバーはグレープフルーツ、去年はブラックカラント、今年はピーチと本当に毎年楽しませてくれるケニアコーヒー。
皆さんも是非高品質なケニアコーヒーをお試しください。
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