パナマコーヒーの品質と奥の深さ、その多様性を味わいより多くの方にパナマコーヒーを楽しんでいただくためのイベント「Panama Coffee Roasting Competition 2023」にCOFFEE ROASTERY 101が参加させていただくことになりました。
今回はCOFFEE ROASTERY 101が競技会に向けて焙煎で工夫したところを紹介したいと思います。
【目次】 |
1.予選のコーヒー豆 |
2.コーヒー豆開封 |
3.焙煎の工夫 |
4.今後のスケジュールとまとめ |
予選のコーヒー豆
生産地情報
生産国 | Panama |
生産地域 | パナマ西部 Boquete(ボケテ)、Chiriqui(チリキ) |
農園名 | Cafe Don Benjie |
精製方法 | Washed Wild Yeast |
標高 | 1,400〜1,550m |
品種 | ゲイシャ種 |
クロップ | 2022年 |
ロット | GL-4 El Velo |
Cafe Don Benjieは、バルー火山のふもと、バホ・モノ渓谷のカルデラ川の清らかな水辺に面しており、標高は1,400m〜1,550mです。農園内の森を流れる小川が運んでくる風と、豊かな火山性土壌と澄み切った水、そして「バハレケ」と呼ばれるこの地方特有の霧(ミスト)にも恵まれ、高品質なスペシャルティコーヒーの栽培において理想的な地域の一つとして知られています。
100年の歴史を持つこの農園は、ステファン・ミュラー氏が農園主をつとめており、エコ・ミルという独自のプロセスで水の使用を最小限に抑えるなど、自然環境に配慮しながらも、独自のイノベーションによるパナマ随一の技術とプロセスレシピによって香り高いアロマとふくよかなボディ、そして驚くほどの持続性と耐久性をもつコーヒーづくりに成功しています。
ロット情報
GL-4 El Velo
果肉除去後、農園の土地がもつ天然酵母と、乳酸菌などの微生物の働きを利用して、最大240時間かけて発酵処理をします。パーチメントを除去、洗浄後、10日〜20日間かけてゆっくりと乾燥させ、環境管理された保管庫でGrainPro Bagの中でゆっくりと休め、熟成させています。
コーヒー豆開封
開封した瞬間から程よい発酵感。コーヒー生豆を見ただけで高品質なスペシャルティコーヒーだと分かります。
ゲイシャ特有の細長いフォルム。均一に精製されており、欠点豆もほぼありません。素晴らしいの一言で、コーヒー豆に対する農園の向き合い方が伝わります。
焙煎の工夫
予選で与えられた評価テーマは「最大限の甘さとフレーバーがあるコンプレックスなコーヒー」です。
COFFEE ROASTERY 101ではまずコーヒー生豆に注目しました。アピアランスも素晴らしいコーヒー生豆でしたが、少量の虫喰い豆とパルピングの時についてしまったであろう表面のキズが1.98%ありました。
それらをすべて取り除き、「Defect=0」を実現しました。
また酸の強度がそこまで強くなかったため、焙煎時間を少し長くした浅煎りで仕上がることに。ボトム温度は通常より高めの120℃で設定し、前半はゆっくりカロリーを与え、中盤ではしっかりカロリーを与えることでフレーバーを構築。その後はフレーバーが曇らないギリギリを狙ってじっくり焙煎を進めました。
SCAのカッピングプロトコルで評価を行うため、どうしても酸の強度が強く華やかなコーヒーに高得点を付けがちですが今回は「最大限の甘さ」が必要なので、そこをどのように目立たせるかが1つのポイントになりそうです。
最後は、COFFEE ROASTERY 101らしくワンランク上の仕上がりに。だいたい2〜3割程度入っていたピーベリーをすべて取り除き、「コーヒー豆を見て安心・コーヒーを飲んで納得」できるように完成させました。
今後のスケジュールとまとめ
【日時】 | 【詳細】 |
8月5日 | 予選:焙煎豆を発送 |
8月25日 | 決勝進出者発表 |
8月29日 | 決勝:課題豆の受取 |
9月15日 | 決勝:焙煎豆を発送 |
9月20日 | 決勝大会実施 |
9月25日 | 結果発表(上位4名を発表) |
9月27日〜29日 | 表彰式&試飲 |
本日、規定の焙煎豆400gとアピールポイント文を発送いたしました。
8月25日に決勝進出者の発表があるようなので、楽しみです。
COFFEE ROASTERY 101
CQI認定Q Arabica Grader
松本安弘