コーヒー豆の品種は大きく分けると2品種に分けられます。一般的に日本の自家焙煎店で取り扱いされている多くはアラビカ種になりますが、ブレンドコーヒーやエスプレッソ用としてロブスタ種を配合しているカフェもあります。
また、缶コーヒーやインスタントコーヒーといった工業用や業務用としても多く取り扱いされているロブスタ種は、世界のコーヒー豆生産量の30%〜40%を占めているといわれています。
今回はロブスタ種(カネフォラ種)について解説していきたいと思います。
【目次】 |
1.ロブスタ種(カネフォラ種)とは |
2.ロブスタ種(カネフォラ種)の生産国トップ5位 |
3.アラビカ種とロブスタ種(カネフォラ種)の違い |
4.まとめ |
ロブスタ種(カネフォラ種)とは
コーヒー豆(生豆)は、アカネ科コフィア属に分類されるコーヒーノキの果実から取り出された種子になります。
世界のコーヒー豆生産量の約99%がアラビカ種とカネフォラ種に属しており、ロブスタ種はカネフォラ種の1つになります。アラビカ種とカネフォラ種の他にリベリカ種もありますが、リベリカ種の生産量は極少量です。
アラビカ種の生産量は約70%と高く、ここ最近ではロブスタ種も注目されていることから、COFFEE ROASTERY 101では今後需要も増えてくると予想しています。
ロブスタ種(カネフォラ種)の生産国トップ5位
1位ベトナム
コーヒー豆生産量はブラジルに続く第2位のシェア。ベトナムはアラビカ種の生産はほとんどしていないので、ロブスタ種においては実質世界1位の生産量です。
2位ブラジル
コーヒー豆生産量世界1位のブラジルではアラビカ種約65%、ロブスタ種約35%を生産しています。
3位インドネシア
コーヒー豆生産量世界3位のインドネシア。通称マンデリンやトラジャ、ジャワコーヒーなどが有名ですが、実は生産されているコーヒー豆のうち、約90%がロブスタ種を生産しています。
4位ウガンダ
コーヒー豆生産量世界7位のウガンダ。近年ではアラビカ種の生産も増えていますが、約95%はロブスタ種を生産しています。
5位インド
コーヒー豆生産量世界9位のインド。約70%はロブスタ種を生産しています。
アラビカ種とロブスタ種(カネフォラ種)の違い
成分
下記表はコーヒー生豆の主な成分含量です。
成分 | アラビカ種 | ロブスタ種 | 特徴 |
カフェイン | 0.6〜1.5 | 2.2〜2.8 | ロブスタ種に多い |
クロロゲン酸 | 6.2〜7.9 | 7.4〜11.2 | ロブスタ種に多い |
少糖類 | 5.3〜9.3 | 3.7〜7.1 | アラビカ種に多い |
多糖類 | 37〜46 | 37〜46 | ー |
アミノ酸 | 0.4〜2.4 | 0.8〜0.9 | 種により組成が違う |
タンパク質 | 〜12.4 | 〜12 | ー |
脂質 | 10〜16 | 8〜12 | アラビカ種に多い |
灰分 | 〜4 | 〜4 | ロブスタ種に多い |
※各成分については別のコラムで紹介したいと思います。
栽培における特徴
アラビカ種の栽培は標高900m以上の高地、日中の平均気温が20℃前後で寒暖差が大きいこと、年間降水量1,800mm前後が好ましいとされています。しかし、そういった好条件でもデリケートなアラビカ種は病害虫に弱く「サビ病」などで農園が全滅してしまうこともあります。それに対しロブスタ種の栽培は比較的低地でも栽培が可能で、日中の平均気温が25℃前後、年間降水量2,300mm前後の高温多湿でものびのびと育ちます。
病害虫にも強く、アラビカ種を育てることが難しい東南アジアの熱帯地域でもロブスタ種は栽培しやすいことが特徴です。
また、栽培における大きな違いとしてアラビカ種は自家受粉、ロブスタ種は他家受粉であること、1本の木から収穫できるコーヒーチェリーの量はロブスタ種の方が多いことも覚えておくと良いでしょう。
風味・香味の違い
アラビカ種と比べるとロブスタ種はコーヒーらしい苦味が強く感じられ、酸味はやや控えめです。アラビカ種で高評価されやすいクリーンで丸みのあるフルーティな酸味はロブスタ種では感じることが難しく、それよりも麦茶や玄米のような香ばしさを感じます。そのため、コーヒーに重厚感や奥行きを出すためにアラビカ種をメインにロブスタ種をブレンドした缶コーヒーやインスタントコーヒー、アイスコーヒー、エスプレッソなどがあります。
コーヒー豆(生豆)の価格
コーヒー豆の価格帯はあくまでCOFFEE ROASTERY 101の感覚になりますが、一般的な自家焙煎店で取り扱いしているアラビカ種のスペシャルティコーヒーとロブスタ種を比べるとアラビカ種の3分の1の価格がロブスタ種になります。
アラビカ種に比べて非常に安価なロブスタ種ですが、近年ではさまざまな栽培、精製方法により高品質で高価なロブスタ種も販売され始めています。
まとめ
今回はロブスタ種について解説させていただきました。世界のコーヒー豆生産量の30%〜40%はロブスタ種です。アラビカ種に比べて病害虫に強く栽培できる場所も多く、なおかつ安価なロブスタ種は今後さらに生産量が増え品質も高くなることが期待できます。
COFFEE ROASTERY 101では、本場イタリアの本格的なエスプレッソを提供するために高品質なロブスタ種をブレンドしています。次回は当店のエスプレッソについて解説したいと思います。
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松本安弘